メンタルが限界のとき、最初に整えるべきは「心」ではない

 

最近、経営者の方からよく聞きます。

「メンタルを崩す社員が増えていて、どう対応すればいいかわからない」

もちろん、精神科や心療内科を否定するつもりはありません。

専門家の力が必要なときは、きちんと頼るべきです。

ただ、心の問題だからといって、心だけを何とかしようとするのは危険だとも感じています。

僕には、小学校からの大切な友人がいました。

とても才能のある人でしたが、心療内科に通い、診断を受け、その後、睡眠薬を大量に服用して亡くなりました。

もちろん、医療そのものが原因だったと単純化するつもりはありません。

ただ、この経験以来、僕はメンタルの問題を「心だけの問題」として扱わないことを大切にしています。

長く人の成長に関わってきて改めて思うのは、心を立て直したいときほど、まず身体の土台を整える必要があるということ。

睡眠を確保する。
定期的に身体を動かす。
食生活を整える。
必要なら、アルコールを断つ。

ものすごく地味です。

「そんな話を聞きたいんじゃない。もっと人生を劇的に変える方法を教えてくれ」

と言われそうですが、残念ながら人間は、充電残量3%のスマホと同じ。

その状態で「もっと前向きに働け!」と言われても、いや、まず充電器をください、という話です。

睡眠不足の脳に「ポジティブに考えよう」と言っても限界があります。

身体をほとんど動かさず、生活リズムも崩れている人に、精神力だけで立ち直れと求めるのは酷でしょう。

心理学には「身体化された認知」という考え方があります。

私たちの思考や感情は、脳の中だけで完結しているのではなく、姿勢、呼吸、運動、疲労、空腹など、身体の状態から強い影響を受けているというもの。

脳は、身体とは別の「心をつくる箱」ではありません。身体の一部です。

だからメンタルケアは、「何を考えるか」だけではなく、

「どう眠るか」
「どう動くか」
「どう食べるか」
「誰と過ごすか」

ここまで含めて考えた方がいい。

これは経営者にも大切な視点です。不調の社員に「気持ちを切り替えよう」「前向きに考えよう」と言う前に、睡眠や業務量、職場の人間関係まで確認する。

本人の心の弱さではなく、心身が回復できない環境になっていないかを見ることです。

ただし、強い落ち込みが続く、自傷や希死念慮がある、日常生活が送れない。

そんな場合は、生活改善だけで済ませず、必ず専門家につないでください。

今日のおすすめ1分アクション

昨夜の睡眠時間、今日の食事、今週の運動量を、それぞれ10点満点で採点してみましょう。最も低いものを一つだけ、今日改善する。

心が苦しいときほど、心だけを何とかしようとしない。

まず、身体から。


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