「仕事はスピードが大事ですか? それとも、じっくり考えることが大事ですか?」
こう聞かれたら、私はこう答えます。
「両方です」
ちょっとズルい答えに聞こえますよね(笑)
でも、本当に優秀な人を見ていると、共通しているのがこれなんです。
相反する二つの要素を、同時に成立させる力。
仕事は速い。でも、雑ではない。
自分の意見ははっきり言う。でも、人の話もしっかり聞く。
大胆に改革する。でも、守るべき文化は守る。
直感で動く。でも、数字と論理でも検証する。
大きなビジョンを描く。でも、細部にもめちゃくちゃうるさい。
これ、実はかなり高度な能力です。
人間の脳は、基本的に「どちらか」に決めたがります。
白か黒か。
攻めるか守るか。
スピードか品質か。
仕事か家庭か。
二択にすると、考えるのが楽だからです。
でも、現実の世界はそんなに単純ではありません。
経営でも人生でも、難しい問題ほど答えは「AかBか」ではなく、
「どうすればAとBを両立できるか?」
にあります。
たとえば、スピードだけを追求すると、仕事は速くても雑になる。
「とにかくやれ!」で進めば、短期的には成果が出るかもしれません。
でも、そのうちミスや不満が積み上がる。
逆に、慎重さだけを重視するとどうなるか。
会議して、検討して、資料を作って、また会議して……。
気づいたら競合がもう商品を出している(笑)
どちらか一方だけでは、どこかで限界が来るわけです。
優秀な人は「AND」で考える
経営学には、こうした相反する要求を同時に扱う「パラドックス思考」という考え方があります。
優秀なリーダーは、トレードオフを見たとき、すぐに片方を捨てません。
「AかBか」ではなく、「AもBも実現するには?」と考える。
ここが大きな違い。
たとえば、
「社員に優しくするか、厳しくするか」ではない。
人には優しく、基準には厳しくする。
「自分の意見を主張するか、相手に合わせるか」でもない。
自分の意見を持ちながら、相手の意見によって変わる柔軟性も持つ。
「自信を持つか、謙虚でいるか」でもありません。
自信があるからこそ、謙虚でいられる。
こう考えると、優秀さの正体が少し見えてきます。
人間的な魅力も「矛盾」の中にある
そして面白いのは、この力は仕事だけではなく、人間的な魅力にもつながること。
魅力的な人って、ちょっと矛盾しているんです。
強いのに優しい。
自信があるのに謙虚。
真面目なのに、遊び心がある。
大胆なのに繊細。
話がうまいのに、聞くのもうまい。
こういう人には「深み」があります。
逆に、一つの特徴だけが極端に強いと、最初は魅力的でも、長く付き合うとちょっと疲れる。
ずっと熱血。
ずっとポジティブ。
ずっと正論。
正論だけで24時間来られたら、こちらも少し休ませてほしい(笑)
だから私は、成熟するということは、自分の中に矛盾を抱えられるようになることでもあると思っています。
信念は持つ。でも、違う価値観も受け入れる。
前に進む。でも、引くべき時には引く。
自分を信じる。でも、自分が間違っている可能性も残しておく。
この「両方を持てる人」が、結局強い。
優秀さとは、選ぶ力ではなく両立する力
若いうちは、「どちらが正しいんだろう」と考えがちです。
でも経験を重ねるほど、問いそのものが変わってくる。
「どちらを選ぶか?」ではなく、「どうすれば両方できるか?」
スピードと熟考。
大胆さと繊細さ。
自信と謙虚さ。
改革と伝統。
直感と論理。
優秀さとは、片方を選ぶ能力ではありません。
一見矛盾する二つを、高いレベルで同時に成立させる能力。
「OR」ではなく「AND」で考える。
これができる人ほど、仕事にも人間にも深みが出てきます。
今日のおすすめ1分アクション
今、自分が「どちらかを選ばなければ」と思っていることを、一つ書き出してみてください。
そして、その下にこう書きます。
「どうすれば、両方できる?」
仕事と家族。
成果と健康。
スピードと品質。
挑戦と安定。
答えがすぐ出なくても大丈夫。
大切なのは、二択から降りること。
人生を変える答えは、AにもBにもなく、「A AND B」にあるかもしれません。
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